ヒト Prolactin の免疫学的知見補遺
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概要
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(1)ヒト下垂体(合計240個)から, Liの方法によつてProlactin(PL), Growth hormone(HGH), Gonadotropin(G)を, 更にヒト胎盤からは所謂 Human Placental Lactogen(HPL)を中野渡等の方法を用いて摘出した.各抽出物については生物学的活性を確認した.抽出物には特に Chromatography などによる純化の操作は加えたかつたが, 各々によつて作製した抗ヒトホルモン免疫家兎血清を検討したところ, 抗体としての特異性は充分であつた.そこでこの抗ヒトホルモン免疫家兎血清の夫々について免疫学的吟味を行なつた.(2)PLとHGHとの関係は最も問題になつている点であるが, 特に抽出物の純化を行なわなかつたにも拘ず, 各々に免疫学的犠異性をある程度認めることが出来た.しかし免疫学的に両者を分離することは出来なかつた.(3)ヒト血清 Acetone 抽出物質, 尿 Kaolin 抽出物質は妊娠後期より産褥期に至るまで抗PLと沈降反応を示した.しかし抗HGHとは反応を示さなかつた。(4)抗HPL血清はHGH, Apostolakis法による PL Extract と沈降反応を示した.無抽出の婦人血清は妊娠3ヵ月から抗HPL血清と沈降反応を示し, 分娩後には最大3時間まで同じ反応を起した.抗HPL血清と踏帯血血清とは全く反応しなかつた、(5)以上の結果から, ヒトのPLとHGHとHPLとを完全に免疫学的に分離することは出来なかつた、しかし, PLはHGH及びHPLとはちがつて授乳婦人血中及び尿中物質と免疫反応する特性をもつことが認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-09-01