子宮内膜の組織培養に関する研究
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概要
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性ホルモンの作用により周期的変化を営む子宮内膜を培養して,種々検討を加えた.子宮内膜からの増殖細胞は上皮細胞様細胞及び間質細胞様細胞よりなり,性周期では増殖期内膜に最良な上皮細胞様細胞増殖がみられ,特に筋腫子宮内膜では増殖率が良好でその多くは組織学的に腺様増殖の像を呈した. 閉経婦人の子宮内膜組織では上皮細胞様細胞の増殖は認めなかつた.又子宮内膜の培養細胞に性ホルモンを添加しても,細胞増殖促進作用はなくむしろ増殖抑制的に作用した.特にandrogen添加では強い増殖抑制作用が認められた.又ラツテ及び人体内に性ホルモンを投与した後の子宮内膜の培養では,estrogen投与は細胞増殖促進的に作用し,androgenは増殖抑制的に作用した.又鶏血漿及び妊婦血清には細胞増殖促進作用が認められた.又子宮体部癌組織と腺様増殖子宮内膜の増殖細胞の間には位相差顕微鏡により形態学的に著しい相違が認められた.人子宮内膜の培養成績は婦人***の他の組織の培養に比べ最良であり,従つてなお未解決の点の多い人子宮内膜に関する組織培養法の研究は興味ある領域と考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-04-01