妊娠個体の必須脂酸に関する実験的研究 : 第2報 妊娠個体の各種飼育条件下における臓器組織必須脂酸含量
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
第1報(本誌18巻9号)において,妊娠白鼡の各種飼育条件下における臓器組織総脂質量及びその構成脂酸について報告した.今回は同様の条件下における必須脂酸含量を測定し次の如き結果を得た. 3) 総必須脂酸含量は,妊娠時,肝外組織において,いずれの条件においても非妊時より大である.標準食飼育時,妊娠肝ではリノール酸よりアラキドン酸への移行即ち効率のよい必須脂酸への転化が亢進しており,妊卵へ常時大量にアラキドン酸を供給している.飢餓時では,妊娠時肝組織に蓄積されたリノール酸が非妊時より容易に肝へ動員され,いわば肝で活性化されて妊卵に供給されており,乳剤静脈内負荷時では,妊娠肝におけるかゝる活性化が更に亢進,妊卵へ大量に移行していると共にリノール酸は速やかに肝外組織へ移行蓄積される. 以上の成績,及び第1報の成績を綜合し,妊娠個体においてはいかなる条件においても,必須脂酸自体の蓄積,動員,活性転化が非妊時よりも有効活発に行なわれており,しかも妊卵へはそれが常時大量に供給されていることを推想した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-04-01