放射線障害白血球減少惹起物質に関する研究
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概要
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我教室に於ては1959年以来子宮癌深部照射療法の際に起る障害について研究し,放射線照射時の障害惹起物質は血清中ではなく,血球中に含まれるものであることを認め,これを抽出して,これにRadiotoxinと命名した.筆者はRadiotoxinの抽出法,性状等について検討を加えると共に,正常血球中にも中枢性に作用して白血球減少をおこす因子があることを認めるなど興味ある知見を得たので報告した. 1) X線照射白血球減少家兎血球を水に透析した外液をアルコール,アセトン,エーテルで処理して得た物質(Radiotoxin, A物質)は極めて著明な白血球減少作用を有し,かつ組織障害作用がありその連続投与により肝,腎,副腎等の臓器の組織障害を惹起した. 2) 正常家兎血球を水に透析した外液をアルコール,アセトン,エーテルで処理して得た物質即ち正常家兎血球抽出物は著明な白血球減少作用を有する.Radiotoxinと比較して耐熱性に於て幾分不安定であるが,組織障害作用は認められない.更に家兎に火傷を繰返して加えると,この血球中の白血球減少因子は次第に減弱していく. 3) Radiotoxinによる初期の白血球減少作用はTranquilizerの一製剤であるAcetylpromazine Maleateによつて完全に抑止されることより,放射線障害の初期における白血球減少は間脳,視床下部の白血球調節中枢の変調によつておこるものと考えられる. 4) Radiotoxinを連続投与すると中枢の慣れによつて末梢血中の白血球の変動は次第に小さくなるが,逆に臓器障害は次第に増強することから,放射線障害の末期の白血球減少はRadiotoxinによる末梢臓器への直接作用が窺われる. 5) Radiotoxin,正常家兎血球抽出物,火傷家兎血球抽出物は近似の構造を有する,Hexoseを伴つた比較的低分子のペプチド化合物と推定される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-02-01
著者
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