婦人科領域の悪性腫瘍における各種脱水素酵素の組織化学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
悪性腫瘍の代謝動態を追求すべく,種々の酵素について生化学的研究と併行して組織化学的検索が行われつつある.本研究は生体内の糖質,脂質,蛋白質代謝に関与せる脱水素酵素群,即ちSuccinate dehydrogenase, NAD-dependent dehydrogenase5種,NADP-dependent dehydrogenase2種の3 System計8種類について,婦人科領域における悪性腫瘍組織内で該諸酵素活性がどの様な局在性と消長を示すかを,Nitroblue tetrazolium法を用いた組織化学の実験手技によつて検索したものである.本実験材料の内容は,子宮癌を中心として卵巣癌,外陰癌におよび,絨毛性腫瘍にも検討を加えた. 1) 対照実験たる正常子宮の腟部扁平上皮層において,8種類のDehydrogenaseは各々特徴ある活性分布を示し,かつその局在性は口腔粘膜上皮,皮膚上皮と共通している.2) 正常子宮体部内膜上皮には,性周期により酵素活性消長がみられたが,Lactate, Succinate, Malate, Glutamateの各Dehydrogenaseは早期増殖期に比し分泌期で活性上昇し,かつ腺細胞の腺腔側胞体に顕著であつた.3) 子宮頚部扁平上皮癌の成熟型,中間型癌巣において,正常扁平上皮と類似性ある酵素活性分布を認めたが,未熟型癌巣においては全く不規則な活性分布を示した.又,各活性共に正常より低下傾向にある.唯,Lactate dehydrogenaseは比較的高活性を維持している.4) 子宮体部の比較的分化度の高い腺癌では,各Dehydrogenaseは不規則ながら正常に近い高活性を示し,卵巣腺癌でも活性著明であるが更に多様性を呈した.一般に腺癌は扁平上皮癌に比し酵素活性は著明であり,扁平上皮癌とは異なつた傾向を認めた.5) 正常胎盤絨毛上皮においては各Dehydrogenase活性は著明であつたが,絨毛上皮性腫瘍細胞ではGlucose-6-phosphate Dehydrogenaesの活性が顕著であつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-02-01
著者
関連論文
- 遺伝子変異を認めた遺伝性乳癌,卵巣癌の1家系
- P-274 腎移植後妊婦の血圧日内変動と妊娠予後について
- P-171 エトポシドによる末梢血幹細胞採取を用いた卵巣癌の超大量化学療法
- 末梢血幹細胞採取におけるエトポシド(VP-16)大量導入療法の有用性
- 234 腎機能推移からたみた腎移植後妊娠分娩例の検討
- 128. 婦人科領域に於ける悪性腫瘍の酵素活性に関する研究
- 128. 婦人科領域に於ける悪性腫瘍の酵素活性に関する研究
- 自然破裂した類皮嚢胞癌の1治験例と類似した12症例の検討
- 非ホジキンリンパ腫化学療法後妊娠分娩した1例
- 婦人科領域の悪性腫瘍における各種脱水素酵素の組織化学的研究
- 24. 婦人科領域に於ける悪性腫瘍の化学療法に関する研究
- 24. 婦人科領域に於ける悪性腫瘍の化学療法に関する研究