X線立体像測定器による臨床研究特に児頭骨盤不均衡指数について
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概要
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児頭骨盤不均衡CPDに関する研究は従来より種々の方法が考案発表されているが, 今回, 著者はCPDの疑える95例にX線立体観察測定を行ない, 骨盤入口部における児頭と骨盤の相対的関係を重視し, その点からCPDの追求を行なった. 骨盤横径と児頭前後径の差, 骨盤前後径と児頭横径の差からCPDの診断を行なった場合, 前者は差の1.5cm以上は総て経腟分娩 (45例) で, 1.0〜1.5cmでは経腟分娩 (11例) と帝切 (17例) が混在し, 1.0cm以下は総て帝切 (22例) で, 後者では差の4.4cm以上は総て経腟分娩 (2例) で, 1.4〜4.4cmでは経腟分娩 (54例) と帝切 (34例) が混在し, 1.4cm以下は総て帝切 (5例) であった. これらのことから骨盤横径と児頭前後径の差がCPD診断の有力因子となることを認めた. しかしこの方法の欠点は各々相対する径線の絶対値のみを考慮し, 骨盤と児頭の相対的関係に対する配慮に欠けていることである. そこで児頭をK, 骨盤をBとすると, CPDと児頭, 骨盤との関係はK/<B-K>なる式で示すことができ, 臨床的に有意義であることから, これを児頭骨盤不均衡指数 (DI) とした. 指数には指数A=児頭前後径/<骨盤横径-児頭前後径>, 指数B=児頭横径/<骨盤前後径-児頭横径>の2つがあり, 指数Aは7.1以下は総て経腟分娩 (46例)で, 7.1〜9.8では経腟分娩 (10例) と帝切 (11例) が混在し, 9.8以上は総て帝切 (28例) で, 指数Bは2.1以下では総て経腟分娩 (3例) で, 2.1〜6.7では経腟分娩 (53例) と帝切 (34例) が混在し, 7.6以上は総て帝切 (5例) であった. 径線の差と, 指数A, Bの4基準を比較すると, 指数Aは経腟分娩例と帝切例の混在を少なくし, 経腟分娩例と帝切例を明確に分離することからCPDの診断価値が最も高い. K指数式DI=K/<B-K>で, 骨盤横径B, 児頭前後径Kがそれぞれ種々の値をとるとDIがどのように変るかB-Kを考察し, 骨盤横径と児頭前後径の差がCPD判定の絶対値でないこと, 及び骨盤径線値のみから分娩の判定をする場合でも, 児頭の大きさがどのような値であるならば, 児頭の骨盤への嵌入が可能であるかを推定することができる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-12-01
著者
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