非妊,妊娠家兎のDesoxycorticosterone acetate食塩投与時の,ノルアドレナリン,アドレナリンによる血管感受性に関する研究
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概要
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高血圧を伴なう各種疾患における血圧上昇の原因は,主として,末梢血管抵抗の増大によるとするのが現在の一般的な考え方の様である.妊娠中毒症においても全身血管,特に末梢小動脈の〓縮が高血圧発来の要因とされているが,本研究は,この点に関して血管感受性の面から特に妊娠との関連において検討したものである. 実験材料として,雌家兎の耳介を用い,血管灌流実験を行なつて,Desoxycorticosterone acetate(以下D.C.A.と略)や食塩の負荷が,非妊或いは妊娠家兎耳介血管の,Catecholamineに対する反応性にいかなる影響を及ぼすかを観察し,併せてその場合の主要臓器の,特に血管系に対する病理組織学的検索を行ない,以下の成績を得た. (1)非妊家兎にD.C.A.或いは大量の食塩を投与しても,Noradrenaline(以下N.A.と略),Adrenaline(以下A.と略)に対する感受性は変化をみないが,両者を併用すると感受性の亢進が認められる.(2)妊娠家兎では,大量食塩単独の投与で感受性の亢進が認められ,特にA.に対して著明である,(3)妊娠家兎にDCAと食塩を併用すると,妊娠家兎の食塩単独投与の場合より,Aに対する感受性はむしろ減弱する傾向を示し,又N.A.に対しては殆んど感受性の亢進を認めない.(4)主要臓器の組織学的検索では,いずれの場合も細小動脈,中動脈等の血管壁にはさしたる変化を認めない.以上の所見から,妊娠時,特に妊娠末期における過量食塩の投与は,血管の昇圧物質に対する感受性を亢進すると考えられ,このことが,妊娠中毒症の発症や増悪が,食塩の摂取と密接な関係を持っていることへの1つの根拠を与えるものと推測される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-11-01
著者
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