晩期妊娠中毒症腎糸球体病変の免疫組織学的研究
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概要
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最近免疫組織学の目覚しい進歩により螢光抗体法を用いて人糸球体腎炎並びに実験的糸球体腎炎の糸球体内にfibrinogen及びγ-globulinの証明がなされ,これらの存在が免疫反応の結果を裏付けるものとされている. 産科領域において最も重要な疾患の1つである晩期妊娠中毒症(以下中毒症と略記)の本態に関しては古くから多くの学説がある.加来教授は多年にわたる研究の結果,中毒症が胎盤多糖体様物質による免疫反応により惹起されるアレルギー性病変を主とする疾患であろうと想定し,現在まで種々の実験によりこれを証明してきた. 著者は中毒症の腎糸球体病変も病理組織学的に急性膜様糸球体腎炎に類似していることから糸球体腎炎と同様にアレルギー性反応の結果起るのではないかと考え,まず人fibrinogen及び人γ-globulinをそれぞれ抗原として家兎抗血清を作り,螢光抗体直接法を用いて中毒症腎生検組織の染色を行ない,病理組織所見及び中毒症の型等とその螢光抗体所見との比較検討を試みた.中毒症腎糸球体病変は教室瀬戸の分類に従つて4型即ち0型,I型,II型,III型に分けた.その結果,少なくとも中毒症腎糸球体I型即ち腫大膨化型病変では,fibrinogen及びγ-globulinともに著明な螢光陽性を示し,しかもこれらの局在部位はI型の主病変部位といわれる基底膜及び内皮細胞に一致する.このことは中毒症腎糸球体病変が糸球体腎炎と同様に抗原抗体反応の結果起つたとする有力な手がかりを与えたものと信ずる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-10-01
著者
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