人胎盤多糖体の精製とその化学的性状について
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概要
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晩期妊娠中毒症は胎盤多糖体により感作された個体,妊婦におこるアレルギー現象を主とする疾患であろうという加来教授の想定を再検討するため,今回は胎盤多糖体について,その抗原性に関する糖質の構造単位を追求するに適した均一標品の分離を目ざし,ゲル濾過による多糖体分子種の篩別およびクロマトグラフィーによる分画,精製を主体として本研究を行なつた. 1)正常人胎盤から燐酸緩衝液による加温振盪抽出,過塩素酸による除蛋白後,エタノール沈澱でヘキソース20.2%,窒素1.7%の多糖体様物質を分離し,更にSephadex (G-100),DEAEセルロースカラムクロマトグラフィーで精製,分離した. 2)本物質はヘキソース73.2%,窒素1.4%の中性多糖体を主構成分とし,構成糖にはグルコース,マンノース,グルクロン酸,グルコサミン,ガラクトサミン,フコースを証明した. 3)更にCM-Sephadex (C-50)によるカラムクロマトグラフィーで多糖体のみからなる分画を単離した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-10-01