正常妊婦および晩期妊娠中毒症患者腎糸球体のアルカリフォスファターゼ活性に関する電子顕微鏡的観察
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概要
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正常妊婦3例,子癇前症患者11例,子癇患者1例に腎生検を行ない,腎糸球体のAlkalinephosphatase活性を電子顕微鏡的に観察した.正常妊婦腎糸球体では,上皮細胞表面,殊に足状突起表面,およびボーマン氏嚢壁上皮表面に酵素活性を認め,基底膜や内皮細胞には認めなかつた.基質筋肉アデニール酸で,膜様細胞膜に,稀に活性が認められた. 妊娠中毒症患者腎糸球体では,その病理組織像の変化があるにもかかわらず,正常例の如く,主として上皮細胞表面にのみ酵素活性を認める場合や,上皮細胞表面と共に,基底膜,膜様細胞,内皮細胞にも酵素活性が認められる事があり,更に上皮細胞表面に酵素活性が認められない部位の基底膜に,酵素活性と思われる燐酸鉛の沈着がみられる等,正常妊婦腎糸球体とは異なつた所見も見られ,酵素活性の規則性,統一性が失われている場合もある事が推定される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-10-01