胎児の脂質代謝に関する研究
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概要
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妊娠時代謝と胎児発育との関連に関する研究の一環として A.ヒト胎児・胎盤の脂質と脂肪酸を分析し,次の結果を得た. (1)脂質と脂肪酸は胎児および胎盤に於て同様傾向を示し,妊娠初期には固形成分単位重量あたり,いずれも胎盤に多く,胎児に少ないが,月数が進むにつれてそれが逆になっていくから,胎盤は妊娠初期では胎児をカバーし,胎児が発育するにつれて次第に脂質代謝の場が胎児に移行するかの如き共軛関係が児と胎盤との間にみられることと,(2)胎児においては妊娠初期よりリン脂質,コレステロールが構成成分となり,後期にはトリグリセライドが著しく蓄積されて胎児発育の面で大きな役割を果していることが認められた. B.また同時に妊娠ラットに胎質を負荷し母体,胎盤,胎仔におよぼす影響を検討し,母体に負荷した脂質は母体に影響し,一部の脂肪酸は胎盤・胎仔にも影響をおよぼし得ることが推定され,母体,胎盤,胎仔の間には脂肪酸代謝においても,ある種の一定機序が営まれていることかわかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-10-01