わが教室蒐集卵巣充実性腫瘍の臨床的研究
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概要
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卵巣充実性腫瘍は病理学的にまた臨床的に複雑で,なお未解決の点が多く,予後の判定はしばしば困難である.わが教室で蒐集せる充実性腫瘍108例を樋口の分類にしたがい類別し各々の臨床的事項と予後との関係を主として検討した. 1) 頻度:続発性癌32.5%,転移性癌17.7%,線維腫15.7%の順で,その他の腫瘍は散発的で少い.2) 年令分布:良性群は平均46.5才,中間群28.2才,悪性群42.7才である.3) 主訴:腹部膨満を慢然と認める場合が,54.6%で多く,しかも腫瘍が発育しているにかゝわらず症状がないことが多い.4) 予後:腫瘍別にみると良性は全例生存し,中間群は充実性奇形腫を除いて死亡例はない.これに対し悪性群は73.6%急速な経過で死亡している.かつ悪性群の5年生存例は僅かに続発性癌の5例14.7%と絨毛上皮腫の1例のみである.5) 予後に関連する臨床事項をみると,腫瘍の類別にしたがって予後は大体において決定される点,樋口の分類は優れている.すなわち,年令,症状,発生側,大きさ,腹水量,癒着等の臨床的事項は必らずしも予後を支配する重大因子とはなつていない.6) 治療:悪性群は手術術式の工夫および抗癌剤並びに放射線治療も現段階は治療の期待も少いことから,今後いかにして早期発見ができるかという臨床的問題が大きな課題といえる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-01-01
著者
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