子宮頸癌に於ける骨盤内リンパ節転移の臨床的研究
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概要
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子宮頚癌手術時の摘出骨盤リンパ節について, 次に述べる3項目に亘り, 教室に於ける骨盤内リンパ節の実態を精査した. まず子宮頚癌手術時の骨盤内リンパ節に関して, 昭和34年1月から昭和37年10月までの頚癌患者172例(I期67例, II期51例, III期55例, IV期4例)のうち転移を認めた症例は67例40%である. この67例について, 更に検討した結果, 扁平上皮癌に於ては未熟型が高い転移率を示し, またHenriksenのいう一次節群は二次節群に比して高率を示した. その他, 種々の臨床的事項と転移との関係について検討を試みた. 次に摘出リンパ節転移と予後に関して, 先に教室の三原が報告した頚癌患者102例(昭和30年9月〜昭和33年12月)について臨床的事項と5年生存との関係を, リンパ節転移を中心にして調査した. 即ち年令, 血液所見, 放置期間, 子宮旁結合織並びに腟壁浸潤との関係, 更に部位別リンパ節転移との関係をみた. その結果, 転移例33.3%, 非転移例80.4%の治癒率を示した. また, 総腸骨節, 基靭帯節などに転移を来したものは予後が極めて不良であることを知つた. 最後に類癌患者268例(昭和30年9月〜昭和37年10月)の再発症例49例(18.3%)についてみると, 再発時期は1年以内のものが最も多く63.3%を占め, 局所再発79.6%のうち骨盤壁に再発するものが59.0%にみられた. 更に, これら再発例の治療方法別予後についてみると, 従来の放射線療法や化学療法と, 現在教室で試みている手術的療法との1年生存率は, 前者14.2%であるのに対し, 後者は50.0%を示し, 明らかに延命効果が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-05-01