脳内Monoamine Oxidase活性からみた性周期の調節機序に関する実験的研究
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概要
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性周期調節のための中枢神経活動の態度を脳内monoamine oxidase (MAO)の組織化学的検索によつて究明できるのではあるまいかと考えて以下の実験を行つた. ラット脳内MAO活性はGlennerらのtryptamine-tetrazolium法によつて組織化学的に染色検出した. 脳組織内に沈着するformazan濃度はMAO活性度とよく一致することを知つたので脳内神経核単位の変動を比較検討する目的で顕微分光光度計による光学的測定法を考案し本実験に用いた. その結果, ラット脳内MAO活性度は視床下部においてのみ性周期と一定の相関をもつて変動するとの新知見を得た. すなわち, 前部視床下部では発情前期に, 中部視床下部では発情期にそれぞれピークをもつた活性度の増加を示すことを認めた. 去勢によつて前部視床下部のMAO活性度は上昇し, 中部視床下部では反対に低下した. Hohlweg現象に際してestrogen投与後6時間目に中部視床下部のMAO活性度が著明に増加することを認めた. なお, 手綱核を除く辺縁系諸核, 視束前野, 乳頭体, 中脳網様系などのMAO活性度は性周期ならびに去勢, estrogen投与の場合にも変動を示さなかつた. 以上の成績から視床下部におけるMAO活性の態度は性周期に伴うgonadotropin分泌を通じて中枢神経活動の消長ときわめて良く一致するものとみられる.
- 1966-04-01