我が国の先天奇形に関する統計的研究
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概要
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今後先天異常が増加するかどうかを知り, 先天異常発生要因と考えられる要因より妊婦をまもり, 先天奇形を予防し, 新生児死因として先天奇形のしめる位置を低下させるために, 先ず我が国における従来の先天異常の実態を知つておかねばならない. この目的で昭和32年より36年に至る5年間の出産時を対象として全国病産院に依頼し調査を行い280828例の出産数に対し1817例の先天奇形の報告を受け, その頻度, 種類について観察し, 又無脳症, 脊椎破裂, 鎖肛, 多指症, 口唇口蓋裂, 小眼球及び無眼球症について, 頻度, 母体年令, 経産初産の別, 児の性別, 在胎週数, 生下時体重について観察した. すなわち, 出産数に対する奇形の頻度は0.65%であり, 奇形の種類では, 筋骨格系が最も多く, 消化器系, 脳神経系の順で, これら3系統の奇形が全奇形の72.3%をしめている. 又各々の系統ではそれぞれ, 多指症, 口唇口蓋裂, 無脳症が最も多い. 口唇口蓋裂は608回, 多指症は1324回, 無脳症は1411回, 鎖肛は4842回, 脊椎破裂は5506回, 小眼球及び無眼球症は16520回の出産にそれぞれ1回の割合で発生する. 鎖肛, 口唇口蓋裂, 多指症は勇性に多く, 脊椎破裂は女性に多く発生する. 母体年令による奇形発生頻度の差は認められない. 主要奇形は第1児に多い事等の結果を得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-02-01