新生小動物に於ける負荷ビリルビン排泄に関する研究
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概要
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薬剤による新生児の高ビリルビン血症及びその合併症である核黄痘の予防ないし治療法には, 常に確実にその効果を期待出来るものはない. 新生児期の小動物にビリルビン(以下「ビ」と略)を負荷することが困難であつたことがこの方面の研究の進展しなかつた最大の理由であろう. 教室の北山は溶媒を工夫することにより腹腔内「ビ」負荷を可能にしたので, 筆者はこれを利用した新生ラッテによる薬物の負荷「ビ」排泄作用の検定法を考案し次の如き知見を得た. 1)実験材料としての新生ラッテは生後5〜7日のものが適当であつた. 2)負荷「ビ」の量は0.5mg, 溶媒の量は0.15ccが適当であつた. 3)採血は一側の頚部切断により, 測定した血清「ビ」値は. 1時間目に最高に達し, 6時間目ではその後と大差がなかつた. 4)検定する薬物の量は新生児臨床使用量の10〜20倍程度とし, 「ビ」負荷と同時に原則として皮下に注射, その後30分から6時間迄の5回に亘つてその影響を観察した. 5)用いた薬剤のうち各時期に血清「ビ」の排泄促進を見たものは, ACTH-Zと50%Glucose (腹腔内注射)であつた. 6) Predonisolone, Rinderonでは逆に排泄阻害を示した. 7) UDPGA 5% Glucoseでは一過性の低下をみた. 8) Glycyron, Tioctan, Thiolaでは排泄をやや阻害した. 9)Guronsan, Orotonsan, Pereston-Nでは影響がなかつた. 10)酵素系のCytochronは影響なく, ATP, DPNでは逆に幾分阻害傾向を認めた. 11)Albuminでは, 腹腔内注射で著明な血清「ビ」値の上昇を認め, 皮下注射では逆に低下を認めた. このことは主としてAlbuminが「ビ」の血管移行を亢進せしめているものと推定された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-12-01