妊娠時家兎骨髄赤血球系成熟能の研究
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概要
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妊娠貧血の解明のうえで, 骨髄機能の問題は重要な一隅を占めるが, その一端として, 骨髄赤血球系成熟能を, 組織浮遊液回転培養法により研究した. 即ち, 家兎大腿骨骨髄を用い, 妊娠時と正常非妊時の骨髄赤血球系成熟能を比較し, 又妊娠血清, 貧血血清の赤血球系成熟能に対する影響を調べ, 更に培養液内にグルコン酸第二鉄, 絨毛性ゴナドトロピン, 下垂体性ゴナドトロピン, エストロゲン, プロゲステロン, 副腎皮質ホルモン, 蛋白同化ホルモン, アンドロゲン, エリスロポエチンを添加した場合の, 各々の赤血球系成熟能に及ぼす影響を調べた. その結果, 妊娠時の赤血球系成熟能は亢進しており, この原因は骨髄そのものにも又妊娠血清にもある事が解つた. 又, 貧血血清も妊娠骨髄の赤血球系成熟能を亢進させる作用があり, 更に培養液中にグルコン酸第二鉄を添加すると妊娠時の赤血球系成熟能を促進して, 赤血球回転を短縮し, 絨毛性ゴナドトロピン, 下垂体性ゴナドトロピン, 蛋白同化ホルモン, アンドロゲン添加では赤血球系成熟能を亢進せしめ, エストロゲン, プロゲステロン添加では抑制せしめ, 副腎皮質ホルモン添加では促進せしめるが, 赤血球の破壊をも亢進させると思われる.
- 1966-11-01