産科領域における造血因子の研究
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概要
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生体内において, 流血中の血球数は比較的一定に保持されているが, これには, ポエチンなるホルモン性物質による調節が関与している. 私は, 特に赤血球の産生能を調節しているといわれているエリスロポエチンが, 産科領域において如何なる意義をもつものかを考察した. 即ち, 種々の病的状態において, エリスロポエチンの果たす役割は, その基礎的研究でも明らかなように, 一般に貧血の程度とエリスロポエチンの血中濃度は逆相関にあり, 貧血の際, このエリスロポエチンが血中に増加するといわれている. 又生体の酸素需要に応じてその活性の増減が調節されている. 私は, 産科領域における造血因子の問題について, まず血清Erpの活性分画を抽出する方法を検討し, それによつて正常妊娠における胎盤後血血清, 臍帯血血清および新生児溶血性疾患児の血清について活性の存在する分画を明らかにし, 又これらの材料に極めて高単位のErp活性を証明した. 更に, 反復交換輸血例において, 同疾患の児が24時間に血中に増量するエリスロポエチン活性値を計算し, これが全血清のB分画中に, 約50コバルト単位/kg/日と概算した. これらの成績は, 人のErp材料源として胎盤後血から利用出来る事を示し, 又臨床的には, 一般貧血婦人又は新生児の造赤血球機能の判定の一助となりうる.
- 1966-10-01
著者
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