人胎盤絨毛組織におけるグリコーゲン合成とそれにおよぼすステロイドホルモン添加の影響に関する研究
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概要
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胎盤におけるglycogen量は妊娠の全期間を通じて増減があまり見られず, 代謝的にも安定であるといわれているが, 私は人胎盤絨毛組織において, glycogenの合成と分解, 並びに糖新生とそのglycogenへの組み入れが活溌に行われている事を観察した. 又胎盤はsteroid hormonesの標的臓器であるので, estradiol, progesterone及びtestosteroneを絨毛組織に添加した場合のglycogenesisの様相を併せて考察した. 人胎盤絨毛組織にglucose-U-C^<14>, glucose-1-C^<14>及びglucose-6-C^<14>を基質として加え, glycogenに組み入れられたC^<14>量を測定して, 糖新生によるglycogen合成の存在を推定した. 又glycogen合成の中間生成物であるglucose-6-phosphate及びUDP-glucoseを測定して糖新生を確認した. 更にglucose-1-C^<14>及びglucose-6-C^<14>を基質とした場合の, glycogenに組み入れられたC^<14>のglycogen構成のglucose分子における位置を過沃素酸酸化法により決定し, glycogen合成と糖新生との様相を解析した. 一方これらの実験についてそれぞれsteroid hormonesを添加してその影響を観察した. この結果, 人胎盤絨毛組織におけるglycogenの合成においては, 基質として加えたglucoseより直接glycogenに合成される量は約60%であり, 約40%はglucoseが一旦分解したのち再び糖に新生されて, glycogenに組み入れられる事が明らかとなった. 又steroid hormonesの添加はglycogenesisを促進するにあたって, glyconeogenesisの過程に対して比較的促進的に働く.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-01-01