産婦人科領域におけるビフィズス菌に関する基礎的臨床的検討
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概要
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母乳栄養児腸管内に優位に棲息し,乳児に有益な生理作用を有するビフイズス菌(ビ菌)に関して産婦人科の立場から基礎的検討を行ない,婦人腟内容,糞便並びに新生児,未熟児糞便を対象に新生児腸管内ビ菌の感染機序,定着性,ビ菌の増殖因子並びに抗生物質に対する感受性態度の検索を行なつた. 1. 婦人腟内容(452例)より14.6%,糞便(121例)より23.1%の割にビ菌が検出され,この両部位検出ビ菌は相互に密接な関係があつた.分娩様式別糞便内ビ菌出現時期は自然分娩児が帝切児に較べて早く糞便内に出現すること,母体側ビ菌とその新生児糞便内ビ菌は互い密接な関係がみられることより,自然分娩時に母体より新生児腸管内に感染することと思われる.しかし分娩様式に関係のない間接的な感染機序のあることも推測された. 2. ビ菌は大腸菌,ブ菌と拮抗,腸球菌,腟桿菌と共存関係を有し,SM耐性ビ菌を指標とし経口投与したビ菌の新生児腸管内増殖,定着性を確認した.また投与中止後の腸管内定着は20日前後であり,腸管内でビ菌叢の変動のあることが推測された. 3. 置換乳実験でin vivoに人乳々清にビ菌を増殖させる因子があり,牛乳々清,カゼイン,脂肪にはこの因子がみられなかつた. 4. ビ菌の12種抗生物質に対する感受性態度は,SM, KMで本菌に対する感受性が低いほかPc-Gをはじめ合成PC製剤,TC,CP,各種のMacrolide製剤やCERはいづれも強い発育阻止作用を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-05-01
著者
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