副腎性Estrogenに関する研究
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概要
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卵巣剔除後尿中に排泄されるEstrogenの主要な産生源は副腎であろうと推測されているが,副腎がEstrogenを産生する確証がないことから,副腎源Androgen等のステロイドが肝臓などの末梢臓器でEstrogenに転換されて排泄されたものとも考えられているがなお不明の点が多い.よつて著者は副腎のEstrogen産生の有無およびその排泄量,分泌動態について検討を加えた. 先ず,卵巣剔除婦人尿中Estrogenの産生源を検するため,Estrogenおよびその前駆ステロイドの代謝物である17-KS, 17-OHCS, Pregnanediol, Pregnanetriolをも同時に測定し,Estrogenと他のステロイドの量的相関を検した.この成績から卵巣剔除後に尿中に検出されたEstrogenlとは副腎から既にEstrogenの形で分泌されるものが多いことが推測された.さらに副腎のEstrogen産生を直接証明するため去勢イヌについてACTH刺激下での副腎静脈血と末梢静脈血中のEstrogen濃度の比較を行ない,副腎静脈血中Estrogen濃度が末梢血よりも高値を示す成績を得た.以上の実験結果により副腎がEstrogenを産生することが示唆され,又卵巣副除婦人尿中Estrogen値により副腎性Estrogenの分泌量を検討し得ることが示された. 次いで副腎性Estrogenの分泌動態を明らかにするために尿中Estrogenおよび他のステロイド値について検討を試み次のごとき結果を得た.副腎からのEstrogen分泌は年令差はなくほゝ一定で成熟期婦人卵胞期尿中Estrogen量の約半量を占めるが,ACTH刺激により少なくとも黄体期に卵巣より産生されるEstrogen量の程度まで増量することが示された.すなわち副腎のEstrogen産生能は潜在力としては卵巣に匹敵する程強力であるが,この副腎性Estrogenのもつ意義についてはその尿中排泄量に年令差がないこと等から性機能のためではなく,代謝的基本的ステロイドの一つとしての意義をもつことが暗示されたことは興味深い.
- 1969-05-01
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