妊娠時の血中progesterone動態について
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概要
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血漿中のProgesterone(以下prog.と略)は検体からの抽出,精製及び微量定量法が困難なことから,従来尿中pregnanediolを測つてprog.量を推定していたにすぎない.筆者はgas liquid chromatography(以下GLCと略)を用いるprog.の微量定量法により妊産婦の末梢血液濃度,〓帯動静脈血液濃度,胎盤後血液及び絨毛間腔血液濃度を測定し妊娠時のprog.動態について検討した.母体末梢血液中prog.濃度は血漿100ml中妊娠17〜20週では2.2±0.8μg(平均値±標準偏差,以下同様),21〜24週では3.6±1.3μg,25〜28週では6.1±1.9μg,29〜32週では9.7±3.4μg,33〜36週では13.0±3.9μg,37〜39週では18.9±5.2μg,40〜41週では20.3±6.5μg,42週以降では17.9±5.2μg,即ちprog.濃度は妊娠8ヵ月迄漸増し,9ヵ月より急増,10ヵ月末にてpeakを示した.予定日超過例でもなお高値を持続した.oxytocin誘発成功例では陣痛時19.3±5.0μgで,妊娠10ヵ月末のpeak時とほぼ等しく,自然発来例でも高値であり,両者の間には有意の差は認められなかつた.又胎盤娩出後1時間で7.3±3.7μg,6時間後では4.0μgと急減した.双胎妊娠例では36週で30.9μg,39週で33.2μgと単胎妊娠例よりほぼ2倍高濃度であり,無脳児例では40週で8.6μgと低値であつた. 〓帯静脈血液中濃度は64.9±18.8μg,動脈血液では44.4±11.2μgで,前者は後者の1.47±0.23倍であり,胎児体内にて代謝ないし他のsteroidに変換されるprog.量は済帯静脈血液中の30.2±10.7%であつた.また胎盤より胎児へ分泌されるprog.の1日量は33.6±9.8mgであり,胎児より胎盤へ送られるprog.の1日量は23.0±6.1mgである.これより胎児では1日10.6±5.8mgのprog.が代謝されるとみなされる.胎盤後血液中のprog.濃度は107.5±70.2μg,絨毛間腔血液中の濃度は270.2±96.3μgであつた.これより母体側への1日分泌量を試験的に算出すると1.4gとなる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-03-01
著者
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