人の子宮頚部酸性多糖体の生化学的研究
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概要
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人の子宮頚部は主に結合組織より構成され,各種ホルモン,炎症などによつて多大の影響を受け,又妊娠分娩と云う子宮本来の使命に対し,重要な役割を有している事は明らかであつて,その機能的な役割は今尚不明の点がある,又子宮癌の好発部位として重要な位盤な占めるものであつて,その発生機序についても不明の事が多く,初期癌の組織像は研究の重要な対称となつている. 結合組織の構成成分である基質はムコ多糖体と最も関係が深く,人の子宮頚部酸性多糖体については,その研究は少なく,正常例を対照として,妊娠時及び子宮頚癌の子宮頚部より,酸性多糖体を抽出,定量,電気泳動分析,分子量分布測定を行なつた. 正常子宮頚部結合織中の酸性多糖体には電気泳動易動度の異なる3つの分画な認めた. 妊娠時にはヘキソウロン酸として測定される全量が増加し,妊娠月数が進むに従い増加,更に低分子酸性多糖体が増加し,特に妊娠末期より分娩時に著明で,電気泳動分析でヒアルロン酸が著明に増加する,頚管無力症では全量の著明な増加とヒアルロン酸の著増を認め,これが頚管無力症と関係の深い事を認めた,此等の臨床応用として,人工的に低分子酸性多糖体の投与,又はヒアルロニダーゼの使用による頚管結合織含有の酸性多糖体の低分子化によつて,頚管の軟化が促進され,分娩時間の短縮が認められた. 子宮頚癌ではへキソウロン酸として,酸性多糖体は増加し,これは低分子化物質とヒアルロン酸様物質の増加による,もので,癌の侵入を容易にするものと考えられ,子宮癌局所に低分子ズルフォン化多糖体の投与は,ヘキソウロン酸として測定される全量が増加し,電気泳動分析でヒアルロン酸様物質の減少,ヘパリン様物質の増加を認め,分子量分布と共に,それ等の比率は正常例と近似の値となり,組織学的に間質に肥満細胞の増加,細胞浸潤,線維化を惹起し,癌侵入の防禦となると考えられた.
- 1969-11-01
著者
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