合成gestagen投与の雌ラット性機能分化に及ぼす影響
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概要
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合成gestagenの妊娠母体投与が胎児外***分化を障害することは周知の所であるが,生後の性機能分化に与える影響は不明である. 著者はこの点を動物実験により解明する目的で,合成gestagenをWistar系ラットの新生仔,妊娠母体,胎仔に投与し,雌ラットの生後性分化に及ぼす影響を検討した.即ち,生後の外***分化に与える影響を肛門***間距離の測定と尿生殖洞の変化から検討し,性機能分化に与える影響を性周期の変化,卵巣組織標本による黄体形成の有無に関する検索,下垂体中総ゴナドトロピンの測定,臓器重量の測定を行なつて次の如き成績を得た. (1) 合成gestagenの新生仔期投与実験から,androgen系合成gestagenは連続発情無排卵ラットを惹起するが,pregnane系合成gestagenは,かゝる作用を示さなかつた.(2) 合成gestagenの妊娠母体投与実験から,投与量が妊娠継続及び出生仔の生存を阻害しない程度では無排卵ラットは惹起されなかつた.(3) Norethindrone 1mgの胎仔直接投与実験で連続発情無排卵ラットが惹起されたことは,胎生期に性中枢分化のcritical periodが存在する事を示唆する.(4) 外***障害を認める胎令20日以前のNorethindrone投与群に連続発情無排卵ラットが惹起されたことは,外***分化と性中枢分化のcritical periodが重複することを示す.(5) Norethindroneの妊娠母体及び胎仔直接投与実験に於いて惹起された連続発情状態が去勢並びにprogesterone投与後も持続することは,Norethindroneの胎生期投与により,本来の腟上皮分化が障害された結果,irreversibleな恒久的変化を来す可能性のあることが示された.(6) 連続発育無排卵ラットの下垂体中total gonadotrophinが一定の低値を示すことは,合成gestagenが性中枢分化を障害し,間脳-下垂体系に機能的変化をもたらしたことを示唆する.従つて,胎生期に性中枢分化のcritical periodがあり,合成gestagenは不妊化を来す潜在力を有することを明らかにし得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-10-01
著者
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