人胎盤可溶性蛋白質の免疫学的研究
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概要
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妊娠晩期中毒症の原因に関して古来多数の学説があるが,加来教授は兆年に亘る研究から人胎盤多糖体様物質(KSP)によるアレルギー性疾患と想定している.著者は多糖体のみならず胎盤の構成々分である蛋白の抗原性についても検討する必要があると考え,人胎盤可溶性蛋白質の単一抗原性を確かめる目的で人胎盤乳剤上清をクロマトグラフイーで精製分離しその分画の抗原性について追求した.実験方法は人胎盤から抽出した乳剤上清をSephadex G-200及びDEAE-celluloseカラムで分画した抗原を分画したもので夫々家兎を感作し,得た抗血清につき夫々の分画を抗原として沈降反応,Ouchterlony法免疫電気泳動法で抗原分析を行ない得意胎盤分画の有無を検索した.その喧嘩人胎盤乳剤上清Sephadex G-200分画No.6は家兎に対して他の分画に比べ抗原性が最も強く又DEAE-celluloseカラムクロマト分画Iには特異抗原があることを,沈降反応Ouchterlony法,免疫電気泳動法等の免疫学的検索で明らかにし,しかもそれはOuchterlony法では単一の沈降線で示され,可成り高分子で中世の蛋白質であり,沈降線の易動度,形態,染色性等からα_2-macro-globulinに非常に近いものではないかと考えられた.この特異蛋白成分をラットに注射した結果抗原性がある(沈降素産生)ことが判明し又一過性の血圧上昇,蛋白尿もみられ,組織にアレルギー病変に近似する像が(未発表)みられた.以上のことから人胎盤可溶性蛋白質には抗原性もある特異分画が証明された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-01-01