卵巣の卵胞におけるステロイド代謝に関する研究
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概要
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granulosa cells(G),theca cells(T),recombined granulosa and theca cells(G+T),cut follicles(F)におけるsteroid代謝について検討した。 ラットよりprevulatory follcleを単離,2等分し,一部をさらにG,T,G+T,Fの群にわけ,3〜24時間incubateし,steroidをRIAで測定した。他方これら4群に14^C-androstendioneあるいは14^C-progesteroneを加えて同時にincubateし,その代謝物をTLCで分離し測定した。 estradiolはF,G+T,Gの順に高値を示したが,androstenedioneを加えるとG,G+T,F,Tの順になり,2〜321倍となった。14^C-androstenedione代謝物は,G,G+Tではtestosteroneがおもな代謝物で,ついで5α-androstane-3α,17β-diolであった。Tではandrosteroneがおもな代謝物で17β-水酸化物は少ない。Fではandrosterone,5α-androstane-3α,17β-diolが主であった。estradiolはRIAの結果と同様であった。14^C-progesterone代謝物はG,G+Tの3〜6時間では3α-hydroxy-5α-pregnan-20-oneが主体であったが24時間後は5α-pregnane-3α,20α-diolが大部分をしめた。Fにおいては5α-pregnane-3α,20α-diolおよび3α-hydroxy-5α-pregnan-20-oneが主体だった。またandrosteroneは少量だが時間とともに増加した。Tにおいては20α-hydroxyprogesterone,3α-hydroxy-5α-pregnan-20-one,5α-pregnane-3α,20α-diolがほぼ同量産生された。以上よりFにおいては,G+Tより17β-水酸化物が少なく5α-reduced compoundが多く産生された。従ってrecombineした顆粒膜および莢膜細胞は卵胞より17β-hydroxysteroid dehydrogenase活性,20α-hydroxysteroid dehydrogenase活性が高く,5α-reductase活性が低いと考えられ,estrogen産生には卵胞の顆粒膜細胞と莢膜細胞の構造が重要であることが示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-09-01
著者
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