羊水栓塞症の実験的研究
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概要
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39頭の犬に羊水や胎便などを静注して実験的に羊水栓塞症の症状を発生させ,その循環動態を比較検討して次の結果を得た.1)ヒト羊水の反覆大量注入では本症のショック症状は発生しなかったが,胎便汚染羊水,胎便懸濁液,胎便懸濁液上清,加熱処理胎便懸濁液,あるいは犬の胆汁注入により本症ショック症状が発生した.この場合ショック作用は胎便懸濁液および胎便汚染羊水が特に強かった.2)本症ショック症状を起した例では動脈圧は注入後,速やかに低下し,そのままあるいは一旦回復し,再び低下して死亡した.右心室圧は瞬間死した例を除けば上昇して,肺動脈圧の先進,肺血管抵抗の増大が示唆された.心拍出量は注入後低下し,一旦回復して再び低下するものが多かった.また中心静脈圧は死亡直前に急上昇した.3)本症のショック症状は肺塞栓症による肺小動脈の機械的閉塞という物理的因子よりもむしろ羊水中の化学的因子や肺塞栓症により生じた血管作動性物質による肺血管掌縮がその主因であろうと推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-07-01
著者
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