妊娠糖尿病(GDM)のスクリーニング法としてのglucose challenge test (GCT)に関する研究
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概要
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妊娠糖尿病(GDM)の診断に対応するスクリーニング法として, glucose challenge test (GCT)の開発を試みた.妊婦にトレーランG 50g経口投与後1時間値のみをみる負荷試験に対しGCTの呼称を用いた.1984年5月から1986年12月における当科外来妊婦1,184例にGCTを行うとともに, それ以前の外来妊婦722例に75gGTTを行った際の血糖値, 血漿IRI値を検討し, 以下の成績を得た.1) GCT値からみた妊婦の糖忍容力は妊娠28週を境として, それ以前に比して有意に遅延することから, GDMのスクリーニングは可及的妊娠28週頃に行うのが良いと考えた.2) GCTの平均値は妊娠28週未満で119±25mg/dl, 28週以降で128±25mg/dlであった.3) 2週以内の間隔で50g〜75g糖負荷を行ったものの1時間値をみると, 糖忍容力正常例での個体別再現性は不良であったが, 異常例(GDM・DM)では良く相関し, 負荷糖量によるその差は平均18mg/dlであった.4) 75gGTTを用いて検討した妊婦の糖忍容力による診断上の感度, 特異度は負荷後1時間値が最も優れていた.5) GDMの発生はGCT155mg/dl以上で生じ, 特にGCT値160mg/dl以上で高率であった.6) GCTによるGDMのスクリーニング上のcut-off pointは155mg/dlが望ましいと考えられ, その際の感度は100%, 特異度は91.6%であった.7) ΔIRI/ΔPG(30min)を用いたインスリン反応によるスクリーニングはGCTの成績に及ばない.GDMのスクリーニングは以上の結果に則って施行することが望ましいと考えた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-10-01
著者
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