実験発癌過程におけるラット子宮細胞質性ステロイドホルモンレセプターの変化
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概要
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成熟雌性ラつトを去勢後string法およびDES投与により子宮内膜癌を発生させた.子宮細胞質レセプターが, 発癌にいたる種々の形態変化とか各種ホルモン投与でどのような影響を受けるかについて検討した.(1)子宮内膜が種々に形態変化しても子宮細胞質レセプターのE_2あるいはR5020に対する解離定数はほぼ一定で, E_2に対しては1.72×10^<-10>M, R5020に対しては2.22×10^<-9>Mであつた.(2)ホルモン投与の影響除外には子宮細胞質をDCCで5回吸着させる必要があつた.(3)正常性周期を示す65匹のラつト子宮細胞質ER-Bmaxは42.43±1.76fmol/mg protein(Mean±S.E.M.)で, PR-Bmaxは123.68±18.26fmol/mg proteinであつた.(4)string法にDES連続投与を併用して, 6週後に異型腺腫状増殖38.7%, 扁平上皮化生45.2%, 13週後に腺癌および扁平上皮癌が6.4%ずつ, 19週後に腺癌28.2%, 扁平上皮癌31.0%, 25週後に腺癌42.1%, 扁平上皮癌78.9%発生した.(5)DESを6週間投与すると子宮細胞質ER-Bmaxは異型腺腫状増殖群でやや増加傾向を示したが腺癌群では著増した.PR-Bmaxは著変は認められなかつたが腺癌群では少なくとも減少することはなかつた.(6)DESとMPA併用投与ではER-Bmaxの減少は異型腺陳状増殖群および腺癌群では著明ではなく, 投与中に癌化した例ではむしろ増加した.一方, PR-Bmaxは一様に減少した.(7)MPA単独投与により腺癌群のER-Bnmaxは著明に減少した.以上の結果より, 子宮細胞質ER-BmaxおよびPR-Bmaxは, 子宮内膜組織の形態によつて差が認められ, また各種ホルモン投与により様々に調節されることが明らかとなつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-06-01
著者
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