メトロイリーゼによる陣痛発来周辺のホルモン動態とCAPの消長について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
適切なホルモン環境下に置かれた子宮筋に緊張上昇および伸展が加わると陣痛がおこることが知られている.そこで計画分娩を目的とした正常妊婦27人(平均妊娠週数39週)を対象に,容積300mlの風船メトロ(以下メトロ)挿入前のホルモン環境が,メトロ挿入による陣痛発来時にいかなる変化をきたしているかをprogesterone(prog.),estrogens,oxytocin(ox.)及びcystine aminopeptidase(CAP)について母体末梢血中濃度および活性を測定し,陣痛発来との関係を検討した.Ox.は陣痛発来時に必ずしも増加しておらず,Ferguson reflexを支持する成績は得られなかった.CAP活性は陣痛発来時に1例が変化しなかった他は全例に低下が認められ,有意な低下を示した.この成績は結果的に陣痛が発来していることから,末梢血中のOX.濃度に著明な増加が認められなくても,局所でのXO.活性の上昇を示しているものと考えられる.また,メトロ挿入前のCAP活性は胎盤重量と正の相関を示し,同時期のox.濃度と負の相関を示したことから,妊娠中のox.濃度はCAP活性によって影響されることも考えられる.Prog.とestrogensについては有意な変化は認められなかったが,メトロ挿入前のestradiolの濃度とCAP活性のメトロ挿入前から陣痛発来時への低下の程度との間に負の相関が認められた.以上の成績よりメトロ挿入がいかなる機序でCAP活性の低下を引き起こすのかは不明であるが,メトロ挿入による陣痛発来には高濃度のestradiolとCAP活性の低下も関与しているものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-06-01
著者
関連論文
- Hemihypertrophyを呈した45,X Karyotypeの1新生児例
- 94.Progesteroneの麻酔必要量におよぼす影響 : 第19群 手術と麻酔 I(93〜97)
- 骨盤位における帝切適応基準 (帝王切開をめぐる諸問題) -- (適応をめぐる問題)
- 骨盤位経腟分娩における児の頭周囲と光進部最大周囲の関係が分娩難易度におよぼす影響
- 輪状膵 (先天異常) -- (肝,膵,腸管異常)
- Nitrazepamの胎盤通過性について
- メトロイリーゼによる陣痛発来周辺のホルモン動態とCAPの消長について
- 浜田病院 (妊娠中期の管理) -- (妊婦管理の実際)