頚癌の抗腫瘍性免疫能増強に関する研究 : 特に免疫賦活剤投与法について
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概要
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子宮頚癌患者に免疫賦活剤OK-432の皮内,局所およびその併用投与を施行し,組織学的ならびに細胞障害活性の変化について比較検討した.組織学的変化:(1)非投与群では,癌周辺間質部,所属リンパ節ともに,単核球の浸潤は軽度で,癌進行とともに減少傾向を認めた.(2)局注群では,両組織とも進行度に関係なくT3,Ia1,M1,Leu7の著明な増加を認め,特に所属リンパ節で顕著であった.(3)併用群では,局注群よりこれら単核球の出現は,さらに著明であった.またフローサイトメトリーによる所属リンパ節単核球の分析で,局注群,併用群でM1,Leu7の比率の増加を認めた.細胞障害活性:癌周辺短核球の[○!1]natural killer (NK)活性は,局注群と併用群のII期で有意(p<0.01)に上昇,[○!2]lymphokine activated killer (LAK)活性は,局注群II期,併用群Ib,II期で有意(p<0.01)に上昇,[○!3]killer活性は,併用群Ib,II期で有意(p<0.01)に上昇を認めた.所属リンパ節単核球の[○!1]NK活性は,局注群と併用群のIb,II期で有意(p<0.01)に上昇,[○!2]LAK活性は,局注群II期,併用群Ib,II期で有意(p<0.01)に上昇,[○!3]killer活性は,局注群II期,併用群Ib,II期で有意(p<0.01)の上昇を認めた.以上より,子宮頚癌患者のOK-432による細胞性免疫能,特に所属リンパ節の細胞性免疫能の効果的賦活化には,局所投与に皮内投与を併用する投与法が,より有効であると推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-03-01