骨盤位の成因としての胎盤付着部の意義
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概要
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妊娠16週から41週までの妊婦に、延べ5、294回、また47例の正期産骨盤位分娩例に超音波断層法を施行し、胎盤付着部位と胎位胎向との関係を検討した。なお、子宮奇形、筋腫合併、卵巣嚢腫合併、多胎、早産、羊水過多、前置胎盤、未熟児、胎児奇形、狭骨盤などの異常妊娠は検査対象から除外した。得られた成績は次の通りである。1)妊娠各期を通じて、胎盤付着部は、中央付着が最も多く、その頻度は60.9〜74.0%におよんでいた。2)骨盤位の発生頻度は、妊娠16〜19週で48.2%であったが、妊娠28〜31週で16.0%、妊娠36〜41週では5.0%と激減した。また、胎盤付着部別の骨盤位の発生頻度は、妊娠16〜19週では、胎盤卵管角付着では38.0%、側壁付着では50.0%、底部付着では52.8%、中央付着では47.2%と大差はなかった。しかし、妊婦36〜41週の検討では夫々20.2%、 6.4%、 9.0%、 1.1%であり、中央付着での胎位変換率は他の部位より明らかに高かった(p<0.01)。3)正期産骨盤位では、その約60%が胎盤卵管角付着であった。以上の事実から、骨盤位発生の大きな原因は、本来の子宮腔の形状である逆三角形的な洋梨状形態が著明に変形した場合であり、胎盤が卵管角、側壁、底部に付着する時には、胎児の自己回転が障害されるためであると結論された。
- 1987-01-01