正常妊娠, 分娩時にみる母児間のmineralocorticoids動態に関する研究
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概要
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妊娠時にみる一連のmineralocorticoids(Mcds)とrenin-angiotensin系との特異な態様とその意義を知るため, 正常妊娠, 分娩時のそれぞれで, 母体・胎盤・胎児を一体としてそれらの動態を検討し, 以下の成績を得た. 1. 正常妊娠末期母体血におけるdeoxycorticostone(DOC)-corticosterone(B)-18-hydroxy-deoxycorticost-erone(180H-DOC)-18-hydroxy-corticosterone(180H-B)-aldosterone(Ald)濃度ならびにPlasma renin activity(PRA)を正常黄体期婦人のそれと比較すると, 180H-DOCを除くいずれも有意に増加L, とりわけDOC, B, Ald, PRAのそれに著しい. 2. 児娩出時の母児双方の濃度を比較すると, DOC, A1dとPRAは膀帯血で高く後者の2つで有意となる. 一方, Bのそれは母体血で高く, 180H-DOCと180H-Bとのそれに有意の相違を認めることができなかった. 3. 母体血のAld濃度はDOC, B, 18OH-BならびにPRAのそれらとそれぞれ一定の正の相関があり, とりわけDOCとBとのそれの間で高いといえるが, 臍帯血で高く, Na^-, Cl^-のそれはともにほぼ同一濃度を示した. 5. 妊娠第18〜20週胎児はA-IIに反応してBと18OH-Bとが著増し, KClで選択的にAldのみに著増を認めた. したがつて, 妊娠時は母体はもとより胎児もまた活発にMcdsを産生分泌し, このMcdsはrenin-angiotensin系と共軛して作動し, 胎児・胎盤系を含めて機能的にも一体となる, 体液・電解質平衡に寄与しているものと思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-11-01
著者
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