Fetal distress診断指標としての家兎胎仔脈波測定の意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
妊娠末期の家兎を用い,腹大動脈を圧迫することにより,その血流量を減少させて子宮・胎盤・胎仔にStressをかけ,その際生じる胎仔脈波(透過型光電容積脈波)および胎仔心拍数(胎仔心電図)の変化を,経子宮壁的に連続測定した.同時に,母獣心電図,心拍数,腹大動脈直接血圧,腹大動脈血流量(電磁血流計)をも測定した.腹大動脈血流量を20%減少(30秒間)させると,胎仔脈波の波高は約40%減少したが,胎仔心拍数には変化を認めなかった。これに対して,腹大動脈血流量を50%減少(60秒間)させると,胎仔脈波の波高は約50%減少し,さらに40秒後より胎仔心拍数も180b.p.m.から60b.p.m.に減少したが,血流減少解除後60秒で胎仔心拍数は120b.p.m.まで回復した.腹大動脈血流量を20%以下(30秒間)にすると,胎仔脈波の波高は直もに60%減少し,次いで20秒後には胎仔心拍数も減少を示し,血流減少解除後も軽度の不整脈を伴いながら,胎仔心拍数はさらに減少した.しかし180秒後には以前の状態にまで回復した.すなわち,胎仔心拍数が可逆性徐脈に陥る以前に,胎仔脈波は既に主として波高に変化がみとめられ,従って胎仔脈波は胎仔循環動態の変化を,より迅速に把握する手段として有用であることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-01-01