温熱化学療法の基礎的研究
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概要
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温熱治療と化学療法の併用時における抗腫瘍効果について基礎的な検討を行った.最初に当教室で樹立,培養している人子宮頚部扁平上皮癌由来のOG株細胞を用いて,その温度感受性ならびに温熱と抗癌剤との併用効果について検討した.加温による細胞増殖の許容温度限界は,1)持続温熱処理では40℃と41℃の間に,2)60分間温熱処理では45℃と46℃の間に存在レた.60分間温熱処理に各種抗癌剤を併用してその効果をみてみると,1)Bloemycin, Ifosfamide,Cis-platinumは併用により著明な細胞増殖抑制効果が認められたが,2)Mitomycin-C,Adriamycinはほとんど効果が認められなかった.次にマウス皮下にEhrlich腫瘍細胞を移植して固型癌としたものについて,加温による腫瘍内抗癌剤濃度の動態を^<14>C-5FUを用いて経時的に測定した,腫瘍内^<14>C-5FUの取り込みは加温により有意に上昇し,加温終了直後では,43℃温浴群で(338.8±13.8)×10^3dpm/g(以下単位略〉,45℃温浴群で(314.4±13.7)×10^3と37℃対照群(229.8±29.0)×10^3に比し各々1.47倍,1.37倍と有意に高値を示した.さらに、加温終了60分後においても,加温群では2.0倍〜1.7倍の高値が保たれた.なお,^<14>C-5FUの腫瘍への到達性は45℃群よりも43℃群の方が良好であった.以上より,in vitro実験では子宮癌由来の培養細胞において熱感受性が認められ,さらに抗癌剤と温熱を併用することにより,細胞増殖抑制におよぼす両者の相乗的ないし相加的効果がみられること,in vivo実験では加温により腫瘍内抗癌剤濃度が上昇することが明らかとなり,しかも至適温度の存在がうかがわれることなどから,悪性腫瘍に対する温熱化学療法の意義と有効性が示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-10-01
著者
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