妊娠ラットを用いた胎仔発育遅延の誘発実験とその胎盤の形態学的研究
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概要
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妊娠ラットを用い胎仔発育遅延の誘発実験のモデル,A飢餓群,B塞栓形成群,C血流抑制群,D高血圧誘発群を作製し,その胎盤の形態学的研究をおこない以下の結論を得た. 1. FGRの誘発率は,飢餓群(100%),高血圧誘発群(84.4%),塞栓形成群(66.6%),子宮血流抑制群(65.0%)の順で,いずれの方法でもFGRを生ずることができた. 2. 母体重は飢餓群を除き他の3群では対照と差がなく,仔体重は飢餓発では均一性でかつ最も低いが,他の3群とくに高血圧誘発群では不均一性が著しい. 3. 仔体重・胎盤重量比は,飢餓群,塞栓形成群,血流抑制群では差がないが高血圧誘発では小であり,仔に比し胎盤が大きい. 4. 従つてFGRの発生機序は実験群において差があると思われた. 5. 組織学的変化は飢餓群では対照と差を認めがたいが,他の3群,とくに高血圧誘発群では異常所見が著しい. 6. 細胞核DNAはいずれの実験群でも低下していると認められ,飢餓群が最も軽度で高血圧誘発群が最も著しい.FGR発生には胎盤の機能低下と密接な関係があると思われる. 7. 従つてFGRではいずれの場合でも胎盤機能低下の存在が考えられ,飢餓群で最も不明瞭で高血圧誘発群で最も明瞭であると認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-07-01