ウサギ子宮でのProgesterone receptorの研究 : 特にクロマチンとの結合およびクロマチンテンプレート活性化について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ウサギ子宮におけるprogesterone (P)の生物学的効果発現機構の内,特にPとprogesterone receptor (PR)との複合体のクロマチン結合とクロマチンテンプレート活性化とについて検討した.1) P-PR複合体は他の非標的組織クロマチンよりはるかに子宮クロマチンと結合し,その結合親和性は反応速度論的にみるとKd=3.1×10^<-10>Mであつた.2) P-PR複合体により子宮クロマチンでのテンプレート活性化は他の非標的組織に比して著明に増加し,この活性化の増加はE. coliのRNA polymerase, PおよびPRにdose-dependentであり,またP-PR複合体とクロマチン結合のtime-dependentな反応であつた.さらに合成黄体ホルモン剤norethindroneやdydrogesteroneでもこの活性化はおこるが,合成の抗黄体ホルモン剤danazolやR-2323ではこの活性化はおこらなかつた.3) Pは8Sおよび5S蛋白とも結合するので,蔗糖密度勾配遠心で分離した8Sは5Sよりも子宮クロマチンテンプレート活性化を促進した.4) P-PRのクロマチン結合はヒストンに影響されないので,クロマチンのヒストン分画を除去してもこのクロマチン活性化には影響しなかつた. 以上の結果によりPがウサギ子宮でその生物学的効果を発揮するためにはP-PR複合体が核内のクロマチンに作用してテンプレート活性化をおこすことが必要であると考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-07-01
著者
関連論文
- 72. prednisolone-clomipheneによる排卵誘発とその作用機序
- 331 産褥下肢血栓症に対するPGE_1持続動注による抗血小板療法
- ウサギ子宮でのProgesterone receptorの研究 : 特にクロマチンとの結合およびクロマチンテンプレート活性化について
- 42. 子宮良性病変の発育や性ステロイド反応性と性ステロイドレセプター量との関連性
- 143. 高度に純化された子宮細胞質progesterone receptorの性格について
- 19. 人子宮内膜および内膜癌における性ステロイドレセプターの性質
- 85. 銅IUDの避妊増強効果の作用発現機構 (第7群 不妊・避妊 (77〜85))
- 46. 人子宮内膜の月経周期とレセプターの変動 (第4群 ***の生理・病理 (45〜49))
- Progesterone Receptorの分離およびその安定性の検討
- Progesterone Receptor と Estrane系ステロイドとの相互作用
- Progesteroneの効果発現機構:estrogen primgの核におよぼす影響
- ウサギ子宮におけるProgesterone Receptor:-特に核内移行とクロマチンとの結合について-
- Progesterone Receptorおよびそのクロマチン結合部位の各種酵素に対する安定性について
- Steroid Hormone Receptorに対する金属イオンの影響
- Norethindrone の Estrogen ReceptorおよびProgestogen Receptorとの相互作用