子宮頚癌患者の免疫皮内反応と免疫グロブリン値について
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概要
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子宮頚癌の発生及び進行について免疫学的に解明する為,細胞性免疫の指標として3種類の抗原すなわちConcanavalin-A (C-test), Phytohemagglutinin (P-test), Tuberculin (T-test)による皮内反応を施行し,他方,液性免疫の指標として3種類の免疫グロブリン(IgA・IgG・IgM)の濃度を測定した.皮内反応ではT-test及びP-test 24時間値低値群において,子宮頚癌との関連性が強く認められたが,C-testではあまり関係がみられなかつた.また免疫グロブリン値では,IgM異常値(正常限界値を逸脱するもの)を示すものが,子宮頚癌では非癌に比べて有意に多く認められた.しかしながら,IgA・IgGでは子宮頚癌に特徴的なものはみられなかつた.そこで,皮内反応に免疫グロブリン値を加味すれば,P-test及びT-test 24時間値低値群で且つIgM異常値を示すものは,癌の疑いが極めて濃厚であると考えられる.すなわち,それに該当するものは,子宮頚癌患者では55例中7例(12.7%)みられるのに対して,非癌では36例中1例も認められなかつた,また,P-testまたはT-test 24時間値低値群あるいはIgM異常値のいずれかでも充たすものは,頚癌患者では55例中32例(58.2%)であるのに対して,非癌では36例中5例(13.9%)にすぎなかつた. 更に皮内反応及び免疫グロブリン値の治療による変動を調べる為,2〜4週毎に追跡検査した.皮内反応では手術療法や放射療法による影響の殆どみられないものが多かつた.免疫グロブリン値では,手術療法・放射療法共にIgA・IgGの低下するものあるいは変動を示さないものが多くみられた.また放射療法例について経過を追つてみると,IgA・IgMでは異常に高値あるいは低値を示したものは,治療と共に正常域に集束されてくる傾向ががうかがわれた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-06-01