卵巣癌患者におけるpaclitaxel投与による副作用 : 特異な副作用,重症例の検討を含めて

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paclitaxel単剤,もしくはpaclitaxelとcarboplatin(CBDCA)併用療法を施行した上皮性卵巣癌患者76症例計320コース(各症例1コース〜7コース,平均5.2コース)を対象として,日本人女性におけるpaclitaxelを含む化学療法によって引き起こされた副作用について検討した.また,患者側が認識する副作用の実態を把握するために,23症例にアンケート調査を行った.paclitaxel投与方法は,目標用量を175mg/m^2,投与間隔を21日ごとに設定したが,実際の投与量はその多彩な副作用により平均164.7±24.3mg/m^2, 31.1±9.0日間隔と用量の変動および投与間隔の延長傾向がみられた.好中球減少はgrade 3(500/μl以上1,000/μ1未満)が38.6%, grade 4(500/μl未満)が47.9%と高率であった.一方,白血球減少はgrade 3(1,000/μl以上2,000/μl未満)が37.8%と高率にみられたが,grade 4(1,000/μl未満)は1コースのみ(0.3%)で好中球減少との乖離が認められた。このうち好中球減少症にて発熱をきたした症例は1例であった.また筋肉痛,関節痛が63.4%,末梢神経障害は75.4%,脱毛は98.3%(完全脱毛32.6%)と高頻度であった.すべての副作用について,コース数の増加と重症度の相関性は認めなかった.極めて重症な副作用として,投与5分後にアナフィラキシーショックを生じた症例,起坐位をとることも不可能であった重症の回転性眩量をきたした症例,視力低下,光視をきたした症例,手術創部の激痛のためモルヒネ製剤を使用した症例が各々1例存在した.また,患者アンケートにより,筋肉痛,末梢神経障害,脱毛による苦痛が,医療従事者の認識をはるかに超えるものであることが判明した. paclitaxel投与時にはこれまでの化学療法では経験がない特異な副作用,重篤な副作用が出現する可能性があり,極めて慎重な対応が必要であると考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2001-04-01

卵巣癌患者におけるpaclitaxel投与による副作用 : 特異な副作用,重症例の検討を含めて

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