ヒト絨毛の酸性ムコ多糖体の生化学的研究
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概要
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絨毛に含有される酸性ムコ多糖体(acid mucopolysaccharide, AMPS)は胎盤機能に重要な役割をなすと考えられるので,ヒト絨毛を生化学的に分析し,正常妊娠例,子宮内胎児死亡例,予定日超過例および妊娠末期中毒症におけるAMPSの変化を比較検討した.1)絨毛よりAMPSを抽出し,カルバゾール反応にてヘキソウロン酸の定量,直接エールリッヒ法にてシアル酸を定量した結果,妊娠の進行とともに胎盤間質のヘキソウロン酸の減少(初期3606.2±890.7→末期871,7±107.9μg/g).およびシアル酸の減少(初期184.6±51.1→末期81.O±21.3μg/g)を認めた.子宮内胎児死亡例,および組織変化を伴う妊娠中毒症例では更にヘキソウロン酸の低下を認めたので,絨毛の成熟,老化と関係があるものと考えられた.2)セルローズアセテート膜電気泳動法によりAMPSの分画を行ない,alcianblue陽性の4分画,alcianblue-PAS陽性の1分画を認めた.各分画は酵素処理により,コンドロイチン硫酸AC (ChS-AC),コンドロイチン硫酸B(ChS-B),ヘパリチン硫酸,ヒアルロン酸およびシアロムコ多糖体と考えられた.3)妊娠の進行に伴い,各分画の減少を認めたが,特にChS-ACは妊娠初期1839.1±455.2→末期326.6±50.7μg/gと約1/6に減少し、ChS-Bは789.7±387.6→222.5±88.9μg/gと約1/3に、ヘパリチン硫酸は426.7±86.2→105.4±28.3μg/gと約1/4に減少し,ヒアルリン酸は最も緩除な変化を示し587.1±175.2→250.3±82.7μg/gと約1/2に減少を示した.子宮内胎児死亡例ではChS-ACが著明に低下し,ヒアルロン酸の比率的増加を認めた.予定日超過例では妊娠末期との間に差を認めず,妊娠中毒症例では組織変化のある例におけるChS-ACの低下を認めた.
- 1978-02-01
著者
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