産婦人科領域における抗白血球抗体の基礎的臨床的研究
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概要
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妊産婦に出現する抗白血球抗体は,母児間における免疫機構の一現象と考えられる.著者は,この面からの研究の一環として,妊娠経過を通じて抗白血球抗体を追跡し,その抗体価の変動,免疫グロブリンの定量,並びにその活性について,又,臨床的応用として,本抗体と産婦人科疾患との関係について観察し,以下の成績を得た.1)正常妊婦831名のうち抗体陽性者は97名でその出現率は11.7%であつた.2)初妊婦280名のうち抗体出現率は,21名,7.5%で,妊娠4ヵ月から抗体が出現し,妊娠7ヵ月にピークが認められた.3)妊娠中の抗白血球抗体価は,症例により若干の変化がみられるが,平均すると,妊娠7ヵ月にピークが認められ,その後,分娩前まで漸次減少を示し,分娩後2週目に再びピークを認めた.死細胞数による変化も,ほぼ同様のパターンを示した.4)抗体陽性例の免疫グロブリンIgGは,妊娠初期より妊娠中期迄やや減少傾向を示し,妊娠後期には,変動はみられないが,分娩後になるとやや上昇を示した.IgMは,妊娠初期より中期迄減少し,その後はやや上昇する傾向がみられた,これら両者の変動は,抗体陰性例の変動と大差はみられなかつた.5)妊娠後期から産褥期を通じて抗白血球抗体のIgG, IgM活性をみると,本抗体の活性はIgGが殆どであり,IgM活性は,わずかであつた.6)疾患との関係では,胎内死亡患者の抗白血球抗体出現率が高率,30.0%(12/40)を示し,特に後期の出現率44.4%(8/18)は,正常妊娠後期の抗体出現率12.2%(49/402)に比し,有意の差(P<0.05)を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-02-01
著者
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