数理的解析によるC.P.D.の判定
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概要
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児頭骨盤不適合(C.P.D.)の判定に計量診断法の1領域である線形判別関数を利用し次の結果を得た. 1. 産道前後径,横径,各部の面積,児頭との差,子宮底,外計測値,年令など19項目について検討した結果,濶部前後径(又は最短前後径),最短前後径と児頭大横径との差,入口部面積,児頭面積,外結合線,大転子間径の6項目による判別関数を作製した. 2. 1次式に於ける自然分娩と帝王切開の判別に於いて,イ) 分散共分散行列の等しいとした時の正診率は90.5%,ロ) 分散共分散行列の等しくないとした時の正診率93.4%である. 3. 予後判定の一つの試みとして,得点分布より自然分娩,判定保留群,帝王切開の3群に判別し分娩予後との関係をしらべると,判定保留域を+2≧x>-2としたときには,保留域はIII式で22%,IV式27%となり,帝王切開と判定されたもののうち自然分娩した誤診例は,III式3例(6.3%),IV式6例(11.8%)であつた. 4. 判定保留域を+1≧X>-1とすると,保留群はIII式13.8%,IV式12.6%,+1≧x>-4とすると,32.6%となる.帝王切開の頻度は,-1以下ではIII式87.9%,IV式78.7%,-2以下ではIII式91.7%,IV式84.3%,-4以下100%となり,+1以上は全例経腟分娩している. 5. 判定保留域の帝王切開は+2≧x>-2のときにはIII式21.1%,IV式24.6%,+1≧x>-1のときにはIII式26.3%,IV式22.9%,+1≧x>-4のときにはIII式51.4%,IV式50%となる.すなわち保留域を+1≧x>-4にした場合には保留域はひろくなるが,帝王切開,経腟分娩同数であつた. 6. 2次式に於ける自然分娩と帝王切開の判別に於いてイ) 分散共分散行列の等しいとした時の正診率は88.3%,ロ) 分散共分散行列の等しくないとした時の正診率は93.3%である. 7. 自然分娩と帝王切開の判別に於いて,入口部面積と児頭面積の差の1項目だけでも91.9%の判別能力がある.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-12-01