妊娠中後期子宮収縮の分析
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概要
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外測計を使用し,妊娠中期の正常妊娠時,切迫早産時及び治療時の子宮収縮の状態,消失過程,そのpatternの変化について検討し,更に外測法による新しい子宮収縮の表現法を考案した. 1) 波形の分類:子宮収縮波を収縮時間の長さからα波(30秒以内),A波(31〜60秒),B波(61〜180秒),L波(181秒以上)に分類し,更にB波及びA波の中で波の上にα波が同時にみられるものをB_α波,A_α波に分類した. 2) 各波形の特長:収縮時間の平均(単位秒)はB波97.7±9.2,B_α波114±8.5,A波49.6±3.4,A_α波52.1±3.9,L波457.6±84.9である.D.T.を基線上2mmの収縮時間,P.T.をpeak迄の収縮時間,1/2.T.を振幅の1/2点の収縮時間とするとP.T./D.T.はB波0.5,A波0.56であり,1/2.T./D.T.はB波0.69,A波0.99である.即ちB波はA波に比しpeakが中央に近く,収縮波の上行脚と下行脚が内側に陥凹している. 3) 各波形の出現:30分間の子宮収縮の平均出現回数は妊娠第8月頃より増加する.A波群は0.7から1.1と徐々に増加,B波群は0.4から1.6となり第8月以降急増する.全波形に対する比率はB波群は28から55%と増加し,A波群は53から37%と減少し,第7月迄はA波群が多いが第8月の点でB波群が多くなる.B波は第10月にB_α波より多くなる.A波はA_α波より終始多い. 4) 切迫早産入院時:正常に比し回数は増加,B波の収縮時間は短縮,peakは中央より前方に変化し,正常時と異なりB波はB_α波より多くなる. 5) 早産治療時には治療により収縮数は減少,各計測値は延長し正常妊娠時の値に近づく. 6) 子宮収縮指数;外測計による子宮収縮の強さを判定する方法として子宮収縮指数を考案した.指数はP.T.D.T.×1/2.T./D.T.×D.T'.(D.T'.は収縮時間の85秒を基点にし,それより1秒減少毎に1点,5秒増加する毎に1点加算する.),その結果収縮の強さは,正常妊娠<治療時<切迫早産入院時<早産時の結果を得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-12-01
著者
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