エストロゲンによるラット子宮cyclic GMPの増加
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概要
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エストロゲンによつてもたらされるラット子宮でのguanosine 3',5'-cyclic monophosphate(cyclic GMP)増加の機序を検討し,以下の成績を得た.なお,実験動物は,生後60日目,体重180g前後のSprague-Dawley系雌ラットの両側卵巣を摘出し,10日間経過したものを用いた. 1) ラット腹腔内に10μgの非放射性estradiol-17β(E_2-17β),または10μgの^3H-estradiol-17βを投与し,子宮内放射能およびcyclic GMP濃度を測定した.子宮内放射能は15分以内で最大に達したが,cyclic GMP濃度はE_2-17β投与後60分までは変化せず,120分から有意の増加を認めた.E_2-17β投与による120分後のcyclic GMPの増加はE_2-17β投与量0.5-1.0μgで最大に達し,それ以上,20μgまでほぼ一定であつた.E_2-17β投与によるcyclic GMPの増加は横隔膜では認められず,4mgのprogesterone投与でも子宮でのcyclic GMPの増加は認められなかつた. 2) このE_2-17β投与によるcyclic GMPの増加にcatecholamineが関与する可能性を検討した.E_2-17β投与によるcyclic GMPの増加は10μgのE_2-17β投与20分前に腹腔内に投与したα-adrenergic antagonistであるphentolamine 2mgにより著明に,β-adrenergic antagonistであるDL-propranolol 2mgでほぼ完全に抑制された.次に,β-adrenergic agentであるisoproterenol 2mgの腹腔内投与により,15分後の子宮cyclic GMPは有意に増加した.この増加は,isoproterenol 2mg投与20分前のDL-propranolol 2mgの腹腔内投与で完全に抑制された.摘出子宮と10^<-7>MのE_2-17βまたは10<-6>Mのisoproterenolとのincubationにより,15分後のcyclic GMP濃度は,E_2-17βでは増加しなかつたが,isoproterenolによりcontrolに比べて有意に増加した.この増加は,10^<-5>MのDL-propranololとのpreincubationで完全に抑制された.以上,エストロゲンによるラット子宮cyclic GMPの増加にcatecholamineが関与すると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-10-01
著者
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