絨毛性腫瘍における細胞性免疫能と予後に関する研究
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概要
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絨毛性腫瘍患者の免疫状態や,これと予後との関係などを明らかにするために,部分胞状奇胎3例,胞状奇胎41例,破壊性奇胎28例,絨毛上皮腫15例,計87例および対照としての正常人21人,子宮頚癌107例(ともに59才以下)にDNCB反応を行つて検討した.また,DNCB皮膚反応の他にリンパ球培養を用いてin vitroにおける方法も併用した.DNCB反応陽性率は,部分奇胎,奇胎,破奇を合せて79.2%,絨毛上皮腫は73.3%であり,ともに対照群の陽性率95.2%との間に有意の差を認めなかつた.このことは子宮頚癌や他の領域の悪性腫瘍と異なる点であつた.DNCB反応を行つた72例の奇胎群のうち,陽性群と陰性群との間に,絨毛上皮腫発症に関して有意差があるか否かは興味ある点であるが,現在まで絨毛上皮腫を発症したのは1例のみであるため,これに関しては,将来の追跡調査にまちたい.絨毛上皮腫の予後を(1) 良好(DNCB反応判定後6ヵ月以内に尿中HCGがLHレベルに低下し,その後1年以上再発がないもの),(2) 中間型(6ヵ月以内にLHレベルに低下しないが,治療に反応し,病状の増悪のないまま1年以上生存を続けるもの),(3) 不良(1年以内に腫瘍死するか,あるいは再発し,その後死亡したもの),とに分けて比較すると,DNCB反応陽性群には予後不良例は1例もなく,良好8例,中間型3例であつた.これに反し,DNCB反応陰性群では,4例中2例が予後不良であり,絨毛上皮腫における陰性者の割合は少ないが,その予後は不良である可能性の強いことが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-09-01
著者
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