Trophoblastおよび絨腫細胞の継続培養知見
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概要
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正常妊娠8〜12週のTrophoblastおよび絨腫細胞S,C.H株の継続培養実験を試みた結果は次の通りである. 1) 正常妊娠初期Trophoblastの単層培養では,培養7日目に大型細胞の出現があるが,10日目をすぎると,Fibroblastic cellの増殖が目立ち,培養液中のHCG値も低下し,2週以後の培養維持は難しくなる. 2) 次に羊膜細胞FL_<40> (X線3000γ照射)をFeeder layerとして用い,妊娠8週のTrophoblastの培養を試みたところ,Trophoblastの発育は良好となり,培養17日目でも,Epitheliod様細胞や多核巨大細胞がみられ,培養50日でもこの状態が維持された.しかも培養液中のHCG値は培養20〜50日目でも100〜50 IU/l以上を示した. 3) 絨腫細胞(S.C.H株)についての70代以上の継代培養の結果では,培養2日目でsheet状に発育増殖し,培養7日目で蜂巣状に広がる増殖を示すが,培養10日目を経ると次第に変性してくる.その際の培養液HCG値も1000IU/lを維持しているが,培養10日目を経ると低下してくるので培養10日目で継代の必要があることを認めた. 4) さらに本培養絨腫細胞質内には,抗家兎HCG血清による蛍光抗体法でHCG産生を証明した.その他35〜68代継代の本腫瘍細胞の染色体分析では,58〜62にモードがあり,とくにB群に長いSubtelocentricな染色体がある他,Y性染色体の存在を確認した. 5) なお本腫瘍細胞の化学療法の抵抗性をみるための実験として,MTX混注培地における発育は,10^<-5>MMTXで培養初期より発育阻止されることが認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-09-01
著者
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