臓器潅流法による絨毛性蛋白ホルモンの分泌動態の解析
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概要
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常温37℃体外臓器潅流装置を用いて,子宮卵管卵巣ユニット,特に,妊娠初期および絨毛性腫瘍ユニットの潅流実験を行い以下の成績を得た. 1. 子宮動静脈を利用したutero-tubo-ovarian unit潅流実験法は絨毛間腔の潅流にも合理的なものであり,潅流終了時のmicroangiographyでそれを確認することが出来た. 2. 240分に亘る潅流中,ユニット内の絨毛組織は核酸と蛋白合成能を保持し,潅流開始60分以後の平均勾配係数からhCGの生成分泌を活発に行うことが認められた. 3. hPLの動態は,そのhalf-lifeが短いため潅流絨毛組織の蛋白生成能をより端的に表わすようである. 4. 妊娠初期および腫瘍性絨毛の蛋白生成能は,hPLのごとき単純蛋白ホルモンよりも糖蛋白ホルモン生成能がより亢進した状態にある. 5. 潅流絨毛細胞のRNA合成能ひいては蛋白合成能は,acti-Dの投与によつて抑制された.しかし,その合成能は2時間後に回復の傾向を示した. 今後ますます多方面において体外臓器潅流実験が行われるようになり,また人工臓器の開発改良が行われるにつれて,in vivoに近い状態における実験が行われ,今まで見い出し得なかつた結果をもたらすであろうが,現時点でのこの体外潅流方法は,ヒト生殖内分泌学の研究に関して一つの有用な手段である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-08-01
著者
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