人妊娠子宮及びrat妊娠子宮に対するProstaglandin F_<2α>の収縮作用に関する研究
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概要
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Prostaglandin F_<2α>(以下P.G. F_<2α>)の子宮収縮作用を明らかにする為に妊娠末期妊婦61例にP.G. F_<2α>の静脈内注入及び帝王切開2例に子宮筋に直接注入を行いその子宮収縮に及ぼす影響をBalloon法による子宮内計測法,Guardring式外計測法及び穿刺法にて観察した.又rat妊娠子宮筋の摘出標本を用いてP.G. F_<2α>の収縮作用を庶糖隔絶法及び収縮曲線描画法にて観察し次の結果を得た. 1) P.G. F_<2α>は陣痛誘発例では著明な収縮作用を示すが,陣痛増強例,特に静脈内注入前の陣痛周期が既に5分以内に確立された例では殆ど増強作用を示さない.又P.G. F_<2α>の収縮作用は陣痛周期の短縮が主であり,子宮内圧上昇作用はそれ程著明ではない. 2) P.G. F_<2α>により惹起される子宮収縮のpatternは収縮持続時間,子宮内圧,上昇期時間とも自然分娩第I期の子宮収縮のpatternに近い.又陣痛増強例では収縮持続時間,上昇期時間とも一時的に延長された後に短縮される. 3) P.G. F_<2α>を子宮筋に直接注入し穿刺法にて観察すると20ないし60秒後に収縮持続時間200から280秒,収縮圧15から25mmHgの一過性の長い収縮が認められた. 4) P.G. F_<2α>による収縮増強作用と血清Progesterone(以下Prog.)との間に一定の因果関係は認められなかつた. 5) rat妊娠子宮筋の摘出標本にP.G. F_<2α>を作用させると収縮が増強される場合は細胞外誘導により活動電位の発生頻度が増加し,抑制される場合は減少し,incoordinateな収縮や2子山を形成する収縮の際はそれに応じて活動電位も散発性になる. 6) P.G. F_<2α>によるrat妊娠子宮筋の収縮のpatternは収縮持続時間を有意に延長させるが上昇期勾配の最大値には変化がない.一方Oxytocin(以下Oxyt.)は収縮持続時間をわずかではあるが有意に延長し,上昇期勾配の最大値を有意に増強する.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-06-01