ヒト胎盤甲状腺刺激ホルモン(hCT)の抽出精製とその性格に関する研究
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概要
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ヒト胎盤絨毛組織から甲状腺刺激作用をもつ生物活性蛋白体(human chorionic thyrotropin: hCT)を抽出精製し,その性格を種々検討して以下の成績をえた. 1 正常妊娠末期胎盤絨毛組織(湿重量約50kg)から,Bates percolation法による抽出とSephadex gelfiltration Ion exchanger chromatographyによる操作によつてspecific activityが125mU/mgのhCT(15mg)をえた 2 精製hCTは,電気泳動学的にみると,1本のmain bandの他に1本のdiffuse miner bandを示し,酸性荷電が弱い. 3 hCTは,hTSHやhCFSH, hPL (hCS)と免疫交叉性を示さないが,hCGとは交叉反応を認め,hCT 1mg中に34IUのhCG免疫活性がRadioimmunoassay法で測定された. 4 hCTを幼若モルモットに投与した時の甲状腺組織所見は,hCG投与群や無処置群にくらべ,対照として用いたbTSH投与のそれに類似し,明らかな組織学的機能亢進像を呈した.また垂摘ラットあるいはPTUとThyroxine処置ラットにhCTを投与すると,甲状腺のI^<131> Uptakeは用量反応的に亢まるし,また被検動物の甲状腺組織内Cyclic-AMP濃度もhTSHと同様な傾向で上昇した.つまりこの胎盤性糖蛋白ホルモンは,生物学的に明らかな"甲状腺刺激作用"を持つことが確認された. 5 hCTは,糖成分としてGlucosamine Galactose, Mannose, Sialic acidを含み,それぞれ含有比率がHexose 3.5%, Hexosamine 3.1%, Sialic acid 1.03%であつた.またアミノ酸分析では,中性アミノ酸であるGlycine, Tyrosine, Alanine等が多く,酸性アミノ酸とProlineは少ない.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-05-01
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