超音波断層法による妊娠初期羊膜腔計測の臨床的意義に関する研究
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概要
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妊娠初期妊卵の発育状態を知ることは臨床上極めて重要であり,種々の診断法があるが,とくに形態的診断法が有効であることはいうまでもない.そこで超音波断層を用いて妊娠初期羊膜腔を計測し,妊卵発育判定への応用を試みた. 基礎的検討としては剔出妊娠子宮により,本研究において使用される超音波断層装置によつて描写される妊卵の構造が実際に生体内の妊卵の構造と一致することを確認し,妊卵の計測は断層像で最も境界明瞭な羊膜腔像によることとした.また,羊膜腔の計測部位としては,縦径,前後径,横径の3種の部位があるが,発育指標としては妊娠日数との相関から最大径を用いるが最も良いことが知られた. 臨床応用としては妊娠5週0日より12週6日までの妊婦384例について接触複合走査法による羊膜腔計測を行なつた.装置は日本無線製超音波診断装置Aloka SSD-30型で,周波数は2.25MHz, 探触子は10mm径のものを用いた.その結果,1) BBTから受胎日の明らかな群では羊膜腔径からの妊娠日数との関係でも羊膜腔径は同様に直線的に発育し,羊膜腔径(cm) =0.1150×妊娠日数-2.3321であつた.3) 羊膜腔径値から在胎日数を推定しうることが可能であり,誤差±7日の範囲で在胎日数の決定に利用しうることが明らかとなつた.4) 予後良好な353例の羊膜腔径値を統計的に処理し,生下時体重との関係を調べた結果,将来SFD児になる可能性のある異常に小さい羊膜腔径値とLFD児になる可能性のある異常に大きい羊膜腔径値の範囲を明らかにし得た.5) 予後不良な31例の測定値から胎芽死亡の可能性の高い胎芽死亡羊膜腔径値を設定し得た.6) 本法は切迫流産予後判定に有効な指標を与えるものである.
- 1977-05-01
著者
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